海外で子育てをしていると、ふとした瞬間に不安がよぎります。「帰国後の受験、うちは大丈夫かな」と。
英語はぐんと伸びた。でも日本語や受験勉強は遅れていないか。そもそも「帰国子女枠」はわが家に使えるのか。情報を調べても、小学校の話、中学の話、高校の話がバラバラで、頭の中で地図がつながらない。
この記事は、その地図を1枚に広げるためのものです。帰国子女受験を小・中・高別に整理し、英語資格の活かし方、学校選び、帰国時期の逆算までを通してお伝えします。
ひとつだけ先にお伝えしたいこと。帰国子女受験に「唯一の正解」はありません。お子さんの日本語力、英語力、性格、そして家庭の事情。そのかけ合わせで、ベストな道は一人ひとり変わります。この記事もあくまで「わが家はこう考えた」という一例。あなたの家の地図づくりのヒントとして読んでいただけたらうれしいです。
わが家は3姉妹を連れてシンガポールから帰国し、それぞれ違う道を選びました。
うまくいったことも、思いどおりにいかなかったことも、正直にお話しします。
ちょんぷーちょんぷーと夫は先生に言われるがままに、あまり考えていなかった大学を受けて〜なのでまさかこんなに選択肢があるなんてってところからのスタートでした!
まず全体像:帰国子女受験の「3つの入口」
帰国子女の受験には、時期によって大きく3つの「入口(タイミング)」があります。小学校の「編入」、中学校の「中学受験(帰国枠)」、そして高校・大学の「進学受験」です。 そして、どのタイミングにおいても、現地校やインターで培った「英語力の活用」が合否を分ける最大の武器になっていきます。
帰国子女枠と一般枠の違い
多くの中学・高校には、一般入試とは別に「帰国子女枠(帰国生入試)」が用意されています。一般枠と比べて、試験科目が少なかったり、英語や作文・面接が重視されたりと、選考の中身が異なることが多いです。
大切なのは、枠があるかどうか、条件は何かが、学校ごとにまったく違うという点。志望校が決まったら、必ずその学校の募集要項を確認する。ここが出発点です。
「帰国子女枠」が使える条件の基本
帰国子女枠には、たいてい「応募できる条件」があります。代表的なのは、海外に住んでいた年数と、帰国してからの期間です。目安として「海外在住1〜2年以上」「帰国後2〜3年以内」を条件とする学校が多いですが、年数は学校によって異なります。累計では足りていても、継続して住んでいたかを問われることもあります。
つまり、帰国のタイミング次第で、枠が使えたり使えなかったりするということ。ここを知らずに帰国日を決めてしまうと、あとで選択肢が狭まることもあります。正確な条件は、必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。
小・中・高で難易度も準備も変わる
同じ「帰国子女受験」でも、小学校・中学校・高校では準備することがまるで違います。ここから学年別に見ていきましょう。
【小学校】編入・体験入学と日本語の壁
小学生での帰国は、多くの場合「受験」よりも「編入」が中心になります。公立小学校なら、住む地域の学校に転入するのが基本です。
このとき最初の山になるのが、日本語の壁。英語で学んできた子ほど、教科書の漢字や「算数の文章題を日本語で読む」ところでつまずきやすくなります。
帰国前に日本の小学校を短期間だけ体験できる「体験入学」を使う家庭も多いです。子どもが日本の学校の雰囲気に触れられ、親も温度感をつかめますが必ずしも受け入れてもらえるものでもありません。
我が家も体験入学でインターとの違いを肌で感じ、日本の学校へのポジティブなイメージを持てたことは非常に有意義なことでした。
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【中学校】帰国枠と中学受験
中学からは「受験」の色が濃くなります。選択肢は大きく2つ。中学受験(一般枠)で挑むか、帰国子女枠を使うか。
一般的な中学受験は、国語・算数・理科・社会の4科目が中心。一方、帰国子女枠は英語や作文・面接を重視する学校が多く、現地で伸ばした英語力を活かしやすい入口です。ただし科目構成は学校差が大きいので、志望校の方式を早めに確認しておくと安心です。
ここで意識したいのが、英語を「なんとなく話せる」で終わらせず、英検などの資格に変えておくこと。資格があると、出願要件や実力の証明として使える場面が出てきます。
ちなみにわが家でも、下の子の進路を「中学受験をするか、高校からで十分か」でゆるやかに迷っています。正解が一つでないからこそ、悩ましくも面白いところです。
英検は本人の習得度に合わせて無理なく受験しています。
それぞれ小学生で準1、2級と下の子は3級に全て塾なし伴走で合格することができました。
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【高校】帰国子女の高校受験ルート
高校受験は、公立・私立・帰国子女枠と、ルートが一気に増えます。そしてわが家にとっては、いちばん学びの多かった段階でもありました。
意外に思われるかもしれませんが、帰国せずに、海外にいながら日本の高校を受験する「海外受験」という道もあります。わが家の長女も、シンガポールに住んだまま日本の高校を受験しました。シンガポールなど海外の会場で受けられる学校があり、長女もこの方法で、いくつかの学校を受験しました。
受け方も一つではありません。シンガポールなどの海外会場で受けられる学校もあれば、オンラインで自宅受験できる学校もあります。方式は学校によってさまざまなので、志望校の情報をチェックしてみてください。
実際の受験の情報はNoteから。かなり具体的な情報が含まれるので一部有料にしています。
ありがたいことに、早稲田渋谷シンガポール校からは大隈奨学金のお話もいただきました。成績だけを見れば、もっと上を狙うこともできたかもしれません。
それでも最終的に選んだのは、偏差値でも特待生でもない学校でした。決め手にしたのは、これから帰国する可能性と、娘のやりたいこと。娘はなりたいものがはっきりしていて、海外にも強い関心があります。だからこそ、点数がいちばん、東大を目指すのがゴールといった学校ではなく、「可能性がいちばん広がる場所」を選びました。
この経験からお伝えしたいのは、偏差値や肩書きは、選ぶ理由の一つでしかないということ。上を狙える力があっても、あえて別の道を選ぶ。納得ができるのであればそれも立派な一つの正解だと、いまは思っています。
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英語資格をどう活かす?英検・TOEFL
海外で伸ばした英語は、受験の場面で「資格」に変えておくと力を発揮しやすくなります。代表的なのが英検、そして高校・大学以降ではTOEFLです。
ポイントは、英検は「取って終わり」ではないこと。何級を、いつまでに、どう使うか。そこまで考えて初めて、受験の武器になります。学校によっては、英検2級以上を出願要件にしたり、加点・優遇の対象にしたりする場合もあります(例:英検準1級以上を条件とする高校など)。扱いは学校によって大きく異なるため、志望校の募集要項で確認しておきましょう。
帰国後に英語をどう保つかも、多くの家庭の悩みどころです。わが家では、長女は学校任せですが、次女以下は海外時代から続けているオンライン英会話の先生をそのまま継続し、英検準1級や2級などの勉強で力をキープしています。公立の英語の授業に物足りなさを感じる場面もありますが、そこはそこで学べることもある、と切り替えています。
ちなみに長女は、TOEFL100点以上を目指しています。(現在は90点くらい)英検で終わりではなく、その先にも次のステップが続いていくイメージです。
スタンフォード大学のプログラム説明会に参加した時に、自分の語彙力のなさを痛感したようで、良い体験となったなと思っています。
ただ、級が高ければいいという話でもありません。わが家で英語をいちばん活かしたのは長女ですが、最終的な進路は、英語力や特待ではなく「本人のやりたいこと」で選びました。資格はあくまで持ち札の一枚。何を決め手にするかは、家庭ごとに違っていいと思います。
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学校選びと「住む地域」の選び方
受験の準備は、実は「帰国してから」ではなく「海外にいる間」から始まっています。とくに大きいのが、通う学校(インターか日本人学校か)と、帰国後に住む地域の選び方です。
インターか日本人学校か
現地でインターに通うか日本人学校に通うかは、帰国後の受験にも影響します。英語をとるか、日本語・日本の学習進度をとるか。ここにも唯一の正解はなく、家庭の帰国時期と子の性格で選ぶのが現実的です。
帰国先の地域で選択肢が変わる
もうひとつ見落としがちなのが、住む地域。地域によって、帰国子女枠を実施している学校の数も、教育環境も変わります。
我が家も数年前からリサーチをはじめ、気になるところに訪れて実際に空気感を感じてみたり、寮がある学校も調べたりして、子ども4人がそれぞれ良いスタートを切れる環境であることを重視して教育水準が高いエリアに引っ越しました。(単身赴任は聞いてないぜ、ですけど)
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帰国時期の逆算スケジュール(小・中・高 早見表)
「いつ帰るか」で準備の順番が変わります。わが家の経験もふまえた、ざっくりの早見表です。あくまで目安として、わが家の地図づくりに使ってください。
| 帰国の学年 | 英語資格の目安 | 日本語・受験対策 | 学校選び・住まい |
|---|---|---|---|
| 小学生で帰国 | 英検3〜2級を持ち札に | 日本語(漢字・文章題)を最優先 | 編入先の地域を早めに検討 |
| 中学で帰国 | 英検2級〜準1級を目標 | 帰国枠か中学受験か方針決め | 帰国枠実施校のある地域を意識 |
| 高校で帰国 | 準1級以上だとプラス・TOEFLも視野 | 志望校の入試方式を早めに確認 | 住所と受験資格の関係を要確認 |
なお、どの学年でも「帰国せずに海外の会場で受験する(海外受験)」という選択肢があります。帰国のタイミングが読めないときほど、覚えておくと安心です。
※この級は一般的な「目標感」の目安です。学校が定める出願要件とは別物なので、志望校の条件は必ず募集要項でご確認ください。
わが家の失敗と学び
最後に、正直な話を。わが家は3姉妹を連れて帰国し、進路は見事に3人3様になりました。
長女は小学生で英検準1級。シンガポールから日本の高校を海外受験し、特待のお話もいただきましたが、偏差値ではなく「可能性が広がる場所」を選びました。海外大説明会やプロジェクトに参加したり、国内の大学のプログラムに参加したりしてどの道を選ぶのか悩んでいる最中です。
次女は小学生で英検2級。実はシンガポールの中学校のグローバルコースにも合格していて、正直そのまま通わせたい気持ちもありました(とても良いコースでした)。いまは日本の公立で部活も楽しみつつ学んでいます。
三女は低学年で英検3級に合格。地域の公立に通い、楽しさもあれば小さなストレスもあり、中学受験をどうするか、ゆるやかに考えているところです。長男はまだ幼稚園なので、可愛いだけで大丈夫ですが英語を忘れてしまうのでしまじろうEnglishを始めたりDWEを引っ張り出してみたりして。
ちなみに私も定期的に外国人ママと話すようになったので、シンガポール時代よりも英語を使っているかもしれません。
同じ家で育っても、これだけ違う。選ばなかった道も、迷っている道もあります。だからこそ思うのです。大事なのは「正解を当てること」ではなく、その子に合う道を一緒に探すこと。
思いどおりにいかなかった選択も、あとから振り返れば、その子にとって悪くない道になっていたりします。焦らず、でも準備は早めに。それが、悩んで悩んで、遠回りもした母からの本音です。
まとめ:あなたの地図はここから
帰国子女受験は、小・中・高で準備がまるで変わります。全体像をつかんだら、次はお子さんの学年に合わせて一歩を踏み出す番です。
- 制度の入口=帰国子女枠と一般枠、条件は学校ごとに確認
- 英語は「資格」に変えておくと使いやすい
- 住む地域と受験資格は結びついている
- そして、正解は家庭の数だけある
まずは気になった学年の記事から、あなたの地図を描き足していってください。
帰国後の進路、「わが家の場合はどうすれば?」と迷ったら、ひとりで抱えこまないでください。公式LINEでは海外子育て・帰国受験のリアルな情報をお届けする予定です。
もう少し深く知りたい方は、体験を綴ったnoteものぞいてみてください。

