駐妻のキャリアブランク、乗り越える方法と帰国後のキャリアの選択肢

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駐妻のキャリアブランク、乗り越える方法と帰国後のキャリアの選択肢
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「駐妻は優雅な専業主婦」——そんなイメージとは裏腹に、キャリアを手放した瞬間から、静かに、しかし確実に社会との接点を失っていく。そんな怖さを感じたことはありませんか?

これは「たまたま運が悪かった」という話ではありません。ワークパーミットやビザの壁、企業のキャリア支援体制の薄さなど、構造的な要因が積み重なって生まれている、れっきとした社会課題です。今回は駐妻のキャリアブランク、キャリア分断について、元キャリアコンサルタント・人事としてHRに携わってきた立場からまとめました。

ただし、この記事のゴールは不安を煽ることではありません。壁の正体を正しく知ったうえで、休むのか、小さく動き出すのか、開き直るのか——自分なりの落とし所を見つけるための材料にしてもらえたら嬉しいです。

ちょんぷー

駐妻歴13年、プロ駐妻のちょんぷーです。

目次

駐妻は基本的に働けない

多くの国では「ワークパーミット(労働許可)」がないと就労できません。ただし国によってルールはかなり異なるので、代表的な2都市の事情を見てみましょう。

タイの場合

ワークパーミットは、企業側の資本金や最低賃金など細かい規定をクリアしないと発給されないため、企業にとっても簡単な手続きではありません。日系企業では、そもそも帯同家族の就労を禁止しているケースも多くあります。

タイでもビザの壁をクリアして働いている駐妻はいます。ただし簡単な道のりではなく、あとはボランティアという選択肢が現実的です。

ここで少しややこしいのが、「働けるかどうか」を決めるのはビザの種類ではなく、ビザとは別に取得する「ワークパーミット(就労許可証)」の有無だという点です。日本人駐在員の帯同で来るノンイミグラントOビザも、タイ人と結婚した方が取得するノンイミグラントOビザも、それ自体に就労の権利はなく、どちらも別途ワークパーミットが必要になります。

「タイ人と結婚した人の方が実際に働いている」という印象を持つ方もいるかもしれませんが、これはビザの違いというより、タイ人配偶者の実家や親族の会社で働くケースが多く、ワークパーミットのスポンサーが身内で完結しやすいことが理由です。駐妻(外国人駐在員の帯同)の場合は、この身内のスポンサーがいない分、雇ってくれる会社を探すところから始める必要があり、ハードルが一段高くなりがちです。

シンガポールの場合

「シンガポールなら帯同ビザでも働ける」と言われることがありますが、これは古い情報です。2021年5月の制度改正により、帯同ビザ(DP)保持者がそのまま就労する仕組みは原則廃止されました。今は、雇用主が別途就労ビザを取得するか、自分自身が個人事業主として登録するかのどちらかしか、現実的な選択肢がありません。制度は年々厳しくなっていると考えたほうがよさそうです。

ただし、抜け道が完全にないわけではありません。DPホルダー自身がACRA(会社登記局)に自分の事業を登録し、その事業の中で働く場合に限り、Letter of Consent(LOC)という形での就労がまだ認められています。フリーランスや個人事業主としてスモールビジネスを立ち上げる駐妻が増えているのは、こうした制度的な背景もあります。条件は変わりやすい分野なので、最新情報は必ずMOM(人材開発省)公式サイトでご確認ください。

リモートの仕事について

フリーランスやクラウドソーシングの仕事がどう扱われるかは国や会社によって差があるので、判断は慎重に。ただ、登録だけしてみると求人の相場感がつかめるのでおすすめです。

フリーランスやクラウドソーシングの仕事がどう扱われるかは国や会社によって差があるので、判断は慎重に。日本のクライアントからオンラインで受注する形であっても、実際に作業をしている場所が滞在国内である以上、現地の法律上は不法就労とみなされるリスクがあります。日本の会社に籍を置いたまま、リモートワークとして仕事を続けるケースも同様です。

「バレなければ大丈夫」と思われがちですが、駐在員コミュニティは想像以上に狭い世界です。何気なく話した内容が誰かの耳に入り、イミグレーションや配偶者の会社に垂れ込まれるケースも少なくないと聞きます。まずは登録だけしてみて、求人の相場感をつかむ程度にとどめておくのが安全です。

ビザと不法就労リスクについては、こちらの記事でさらに詳しくまとめています。

データで見る駐妻のキャリア不安

「なんとなく大変そう」ではなく、実際に行われた調査を見てみましょう。

育休女性・駐在妻あわせて332名を対象にした調査(株式会社MYコンパス、2019年)では、育休女性の97%、駐在妻の94%が「キャリアについての悩みや不安がある」と回答しています。対処法として最も多かったのは「夫に話した」で、次いで「友達に話した」「本やインターネットで調べた」と続きます。個人的な対処にとどまりがちな実態が見えてきます。

駐妻を対象にしたアンケート(駐妻キャリアnet、226名・2020年7月〜2022年5月)では、帯同先で希望する就労機会として「日本企業とのリモートワーク」が54.9%でトップ、次いで「現地企業での就労」が46.5%でした。働きたい気持ちがある人が多数派である一方、ビザの壁でそれが叶わない現実も同時に見えてきます。

再就職にあたって駐在妻が感じる課題としては、「ブランク」「年齢」「育児との両立」「今後の見通しが不透明」といった声が体感としてよく挙がります。特に30代後半から40代前半という、キャリア形成において重要な時期にブランクが生じやすいのが実情です。

キャリアを取るか、家族を取るか

大きな問題になるのは、

  • 自分のキャリアを取るのか
  • 家族で一緒に暮らすのか

という二択に見えてしまうことです。

日本から帯同する場合、仕事を辞めざるを得ない人はたくさんいます。逆に、現地で仕事を始めて、夫の帰国後もその国に残る選択をする人もいます。

子どもが小さいうちは「家族一緒にいたい」という思いから、キャリアをいったん手放す人も多いでしょう。同じように、ヨーロッパでは男性が主夫になる家庭も珍しくありません。ママ友ならぬパパ友もいますし、あえて離れて暮らしながら、それぞれ仕事を続けている家族もいます。

最近は少しずつ変化も出てきています。配偶者の海外転勤時に休職できる制度を導入する企業や、帰国後の再就職支援に力を入れる企業も現れ始めました。「キャリアを諦めない駐妻・駐夫」というロールモデルも増えつつあります。

駐妻としての自己肯定感は低下しやすい

タイに来て駐妻になり、今までバリバリ働いてきたのに急に時間ができて、何をすればいいのか分からない。そんな状態に陥る人は少なくありません。

夫は慣れない仕事に追われ、家族のフォローまで手が回らないこともあります。「私はなぜここにいるのだろう」「私の価値は何だろう」と、つらい思いを抱える人も多いはずです。

駐妻を見下すような言動をする人もいるので、深く傷つく場面もあるでしょう。「夫からお金をもらって生活すること」自体に耐えられないという声もよく聞きます。夫婦関係そのものが苦しくなってしまうケースについては、こちらの記事で詳しく書いています。

完璧主義な人ほど自己肯定感が下がりやすい傾向があります。謙遜ならいいのですが、必要以上に自分を責める必要はありません。

それでも、駐妻の経験は「強み」になる

ここではっきり伝えたいのは、駐妻としての時間は「キャリアの空白」ではないということです。

人材紹介の現場でも、駐在妻は転職市場で評価されやすい層だと言われています。理由は主に3つです。

  1. もともと大卒・総合職としてキャリアを積んできた人が多いこと
  2. 海外生活で鍛えられた語学力
  3. 予測できないトラブルを乗り越えてきた課題解決力と柔軟性

学生時代やキャリア初期に培った「考える力」「仕事を進める力」「チームで働く力」は、数年のブランクで簡単に失われるものではありません。むしろ海外生活の経験が、新しい価値を積み増していると考えるべきでしょう。

ボランティアという選択肢

タイではボランティア活動をしている駐妻も多くいます。

ちょんぷーも、友人限定でボランティアとして転職サポートをしたことがあります。職務経歴書の添削や簡単なキャリア相談、案件のリサーチなど、企業に所属していないのでできることは限られていますが、できる範囲で情報を提供し転職が無事成功しました。

企業に入った友人からマーケティングを頼まれることもあります。こういう依頼があると、やはり気持ちが上がるものです。仕事としてできたらいいのに、と感じます。

ブログを始めたのも、社会とつながるリハビリのようなものでした。サーバー代など運営費も想像以上にかかり大変なことも多いですが、一人でここまで作れたことは自分でも褒めています。
稼ぐイメージが強いですが、結構お金かかってますし、効率はいいものではないのでお勧めはしません(笑)

ちょんぷー

サーバー代、ドメイン代、Canvapro、動画のソフト、なんでもお金かかります。

帰国後のキャリアを見据えた過ごし方を

ブランクは、間違いなく損失です。ちょんぷー自身、13年も企業から離れていることに焦りを感じています。

しかし、ブランクが長くても可能性はあります。帰国後に起業した友人、リモートワークを続けている人、まったく違う業界に飛び込んだ人、前の会社に戻った人。道は一つではありません。

帰国後を見据えて、今からできることをいくつか挙げます。

  • 資格を取る:ただし資格は厳選し、本当に必要なものだけに絞りましょう。数を集めても評価にはつながりません。
  • 語学力を伸ばす:英語が話せるようになることは、選べる仕事の幅を確実に広げます。
  • ITスキルを身につける:オンラインで完結するスキルは、帰国後もそのまま活かせます。
  • 現地就業・リモートワーク・ボランティアを経験しておく:帯同中に何らかの形で「働く経験」を積んでおくと、帰国後の再就職や収入面でプラスに働きやすい傾向があるといわれています。
  • 夫婦で対話する時間を作る:キャリアの不安を一人で抱え込まず、定期的に夫婦で話す時間を持つこと自体が、立派な準備になります。

ちょんぷーも、苦手だったSNSを勉強し、ライフコーチングの資格を取り、帰国後の起業に向けて情報収集をしています。可能性は無限大だと思っています。

働いていないから価値がないわけではない

家族のためにキャリアを犠牲にして、異国にやってきたこと。それ自体が、大きな決断です。

価値がないわけではありません。なかなかできることではないので、悲観的にならないでほしいのです。家族を支える決断をしたことに、誇りを持ってほしいと思います。

自分のキャリアと、どう向き合うか

「空白」ではなく「準備期間」と捉える

慣れるまでは、意識高く過ごそうとしなくて大丈夫です。まずはゆっくり、のんびりも楽しんでみましょう。ちょんぷーは「ひたすら楽しむ」と決めて、仕事とは関係のない習い事に手を出し、自己満足しています。
TVerとか、アマゾンプライムとか面白いですしね。


帰国後の自分に必要なものだけ選ぶ

時間ができたら刺繍をしたり、体を動かしたり、友達と話したり。ストレス発散になることに、迷わず時間を使いましょう。それが結果的に、帰国後の自分を支える引き出しになります。

他人のキャリアと比べない

帰国して輝いている友人、実家が太い友人、資格をたくさん持つ友人と比べても仕方ありません。駐妻の世界には、そういう人が案外たくさんいます。

人と比べたり、人の目を気にしたりしないようになってから、生きるのがぐっと楽になりました。人間関係や気持ちの持ち方全般については、こちらの記事でも詳しくまとめています。

頑張っている自分を、自分で認める

「今日も自分、頑張ったな」と声に出してあげましょう。ちょんぷーは自分に甘いので、褒めまくっています。

昔はストイックな完璧主義で、鎧をまとっているようだと言われたこともありました。子どもを産んでからは、すっかり別人です。

一日楽しかったな、明日は何をしようかな。そんなことを考えられるのは、今しかありません。自分がご機嫌でいれば、家族もご機嫌になります。感謝を忘れずに過ごせば、それで十分です。

まとめ

キャリアで悩んでいる方、家族との関係に悩んでいる方。一人ではありません。

調査を見ても、駐妻のキャリア分断は個人の甘えではなく、社会構造の問題だということが分かります。だからこそ、正しい情報を持って、今からできる準備を始めることが何より大切です。

私たちは十分に頑張っています。できるだけ自分に甘く、褒めて、楽しく過ごしていきましょう。

\ 駐妻になって、ふと立ち止まったあなたへ /

「子どものことは考えている。でも、私はこの先どうしたい?」

  • 仕事を辞めた。キャリアが止まった気がする。
  • 海外生活は楽しいけれど、帰国後が不安。
  • 何か始めたいのに、自分に何ができるのかわからない。

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この記事を書いた人

タイとシンガポール13年の海外生活を経て、「わたしと子どもの世界を広げる旅と教育」をテーマに発信中。 4児ママならではの視点で、親子で100%楽しめるアジア子連れ旅行のコツ、教育移住、気になる帰国子女教育について実体験ベースで更新しています。

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