シンガポールのマーライオンといえば、「世界三大がっかりのひとつ」。
そんな話を聞いたことはありませんか?
「思ったより小さい」
「わざわざ見に行くほどでもない」
「行ってみたけど、がっかりだった」
今でもよく聞く声です。
でも、シンガポールに約4年間住んでいた私から言わせてください。
マーライオン=がっかり、はもう古い情報です!
高さ8.6m、重さ70トン。
目の前に立つと、しっかり存在感のある大きさです。
しかも今は水辺の開けた場所に立ち、その向こうにはマリーナベイ・サンズ。
「これぞシンガポール!」という景色が広がっています。
では、なぜ「がっかり」と呼ばれるようになったのか。
昔のマーライオンについて調べてみると、昔と今では、マーライオンの見え方も、周りの景色もまったく違ったことがわかりました。
ちょんぷー「昔行ったけど、がっかりだった」という人にこそ読んでほしい話です。
マーライオンは本当に「世界三大がっかり」?

世界三大がっかりとは
一般的に「世界三大がっかり」と呼ばれるのは、この3つ。
- シンガポールのマーライオン
- デンマーク・コペンハーゲンの人魚姫像
- ベルギー・ブリュッセルの小便小僧
ただし、どこかが公式に決めたランキングではありません。
旅行者のあいだで広まった、いわば俗称です。
実は「小さい」わけではない
がっかりの理由としてよく言われるのが、「思ったより小さい」という話。
でも実際のマーライオンは、高さ8.6m・重さ70トン。
小さな置物のようなサイズでは、まったくありません。
すぐ近くには、高さ2mほどの小さな「マーライオン・カブ(子どものマーライオン)」も。
写真やイメージが混ざって、「小さい」という印象が広まったのかもしれません。

そして「がっかり」の理由を調べていくと、もっと面白い歴史がありました。
「がっかり」と言われた本当の理由は昔の立地
1972年、シンガポール川の河口に誕生
実はマーライオン、最初から今の場所にいたわけではありません。
今のマーライオン像が公開されたのは1972年。
当初は、シンガポール川の河口付近に置かれていました。
1997年、橋のせいで見えにくい場所に
ところが1997年、河口にエスプラネード橋が完成。
その結果、橋にさえぎられて、マーライオンが海から見えなくなってしまったのです。
これは「そういう説がある」という話ではありません。
シンガポール国家文化遺産庁(National Heritage Board)の記録にも、橋の完成で海から見えなくなったため移設が決まった、と残っています。
昔の写真を見ると、「なるほど、これは今とは全然違う」と納得の景色。
橋の陰にひっそり立つマーライオンなら、がっかりされても仕方なかったのかもしれません。
2002年、今の場所へお引っ越し
そこで2002年、マーライオンは現在の場所へ移設されました。
新しい場所は、ワン・フラトン(One Fullerton)の前。
元の場所からそれほど離れてはいませんが、水辺に突き出すように配置され、周りからしっかり見えるようになりました。
今のマーライオン公園も、この移設にあわせて整備されたものです。
像は同じでも、「見え方」がまったく違う。
昔の「がっかり」と今のマーライオンは、別物と考えていいくらいです。
マーライオンの「周りの景色」も激変

さらに大きく変わったのが、マーライオンを取り囲む景色です。
今では対岸に、シンガポールを代表するマリーナベイ・サンズ。
でも、マリーナベイ・サンズの開業は2010年。
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの一般公開は、さらに後の2012年です。
つまり、今では当たり前の「マーライオン+マリーナベイ・サンズ」という景色そのものが、昔は存在しなかったということ。
今のマリーナベイは、マーライオン、マリーナベイ・サンズ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、高層ビル群が一体となった場所。
マーライオンは、「像だけを見る観光スポット」から「マリーナベイの景色ごと楽しむ場所」に変わったのです。
父にとってのシンガポールは「がっかり」だった
実は私の父は、昔、仕事などで何度もシンガポールを訪れていました。
そんな父に当時の話を聞くと、返ってくるのはこんな言葉。
「特に見るものがなかった」
「マーライオンはがっかりだった」
そしてもうひとつ、よく言っていたのが「昔のシンガポールはものすごく安かった!」ということ。
今のシンガポールを知っている人からすると、「本当に!?」と思いますよね(笑)。
父の記憶に残る「ニュートン・サーカス」
「昔シンガポールでどこに行ったの?」と聞いても、観光の記憶はあまり残っていない様子。
覚えていたのは、「サーカスみたいな名前の、広いホーカーセンターに行った」ということでした。
おそらく、今のニュートン・フードセンター(Newton Food Centre)。
昔は「ニュートン・サーカス・ホーカーセンター」と呼ばれていた場所です。
開業は1971年。
「ガーデンシティ」を目指す国づくりにあわせて、木々に囲まれた庭園スタイルで造られたホーカーセンターです。
1978年にはオーチャードの人気屋台街から屋台が移ってきて、さらににぎわうように。
シーフードの屋台は、日本やヨーロッパからの観光客にも人気だったそうです。
当時の日本人旅行者にとって、まさに定番スポットだったのですね。
父の記憶が「マーライオン」「ニュートン・サーカス」「とにかく安かった」なのも、今思うとなかなか面白いところです。

今のシンガポールを再訪した父の感想
その後、私たち家族がシンガポールに住むことになり、父も久しぶりに再訪。
すると、「シンガポール、全然違うな」とかなり驚いていました。
それもそのはず。
昔はなかったマリーナベイ・サンズがあり、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイがあり、セントーサにも観光施設がたくさん。
マーライオンも、昔とは見え方がまったく違います。
そして物価も……全然違います(笑)。
昔を知っている父だからこそ、街の変化がより楽しかったようです。
ちょんぷー父は旅行に来るとあちこち動き回るのが好きで、現地の人だと思われたようで中国語で話しかけられてました。もちろんわかりません(笑)
「昔行ったからいいや」という人にこそ来てほしい

昔シンガポールに行ったことがある人の中には、「一度行ったから、もういいかな」と思っている人もいるはず。
でも、昔のシンガポールしか知らない人にこそ、今のシンガポールを見てほしいと思います。
特にマリーナベイ周辺は、大きく様変わり。
「あそこにこんなもの、なかったよね?」
「昔はここ、こんな感じじゃなかった!」
そんなふうに、記憶と比べながら歩くのも楽しいはずです。
一度訪れた国を、10年、20年、30年たってからもう一度訪れる。
新しい国に行くのとはまた違う発見があるのも、旅の醍醐味ですよね。
今のマーライオンの楽しみ方
マリーナエリアごと1日で楽しむ
マーライオンだけ見て帰るのは、正直もったいない。
初めてなら、マリーナエリア全体をひとつの観光コースとして回るのがおすすめです。
マーライオン
↓
マリーナベイ周辺を散策
↓
マリーナベイ・サンズ
↓
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
マーライオン公園からマリーナベイ・サンズを眺める景色は、「シンガポールに来た!」と実感できる定番の1枚です。
このルートを入れた旅行プランは、こちらで紹介しています。


昼と夜、どっちがおすすめ?
時間が許すなら、昼と夜の両方がおすすめ。
昼はマーライオンもマリーナベイ・サンズもくっきり見えて、写真が撮りやすい時間帯。
夜は周りの高層ビルやマリーナベイ・サンズがライトアップされ、雰囲気がガラッと変わります。
マリーナエリアで夕食や夜景を楽しむ予定なら、夕方から夜にかけて訪れるのもいい選択です。
定番の写真ポーズも楽しんで
マーライオン公園でおなじみなのが、口から出る水を手や口で受け止めているように見える写真。
家族みんなで挑戦すると、意外と盛り上がります。
マーライオン・カブとの記念写真も、あわせてどうぞ。
なお、清掃やメンテナンスで水が止まっていることもあるので、その点だけ頭の片すみに。
子連れでも行く価値あり
子連れでも、マーライオンは行って損なし。
長時間滞在する場所ではないので、旅行プランに入れやすいのも魅力です。
写真を撮ったら、マリーナエリアを散策したり、暑くなったらショッピングモールへ逃げ込んだり。
ただしシンガポールは、とにかく暑い国。
小さな子どもと一緒なら、昼間の屋外観光は詰め込みすぎず、休憩をはさみながら回るのがコツです。
マーライオン公園の基本情報
- 住所:1 Fullerton Rd, Singapore 049213
- アクセス:MRTラッフルズプレイス駅から徒歩約10分
- 入場料:無料
- 営業時間:24時間
マーライオンまで歩いてすぐのホテルなら、歴史ある建物を改装した「ザ・フラトン・ホテル」も人気です。

まとめ|マーライオン=がっかりは、もう古い!
マーライオンが「がっかり」と言われてきた背景には、はっきりした理由がありました。
- 1997年、エスプラネード橋の完成で海から見えなくなった
- 2002年、水辺の開けた現在地へ移設
- 2010年にマリーナベイ・サンズ、2012年にガーデンズ・バイ・ザ・ベイが誕生
マーライオンは同じでも、見え方も周りの景色も、昔とはまったくの別物。
「世界三大がっかりでしょ?」という昔のイメージだけで行かないと決めるのは、もったいないです。
昔シンガポールを訪れたことがある人も、ぜひもう一度。
「知っている国なのに、知らない景色がある」
そんな再発見も、シンガポール旅行の楽しさです。


