シンガポールへの中学生での赴任や引越しが決まった際、多くの保護者が直面するのが学校選びの問題です。
「せっかくの海外だからインターナショナルスクールか」と考えがちですが、実はシンガポール日本人学校中学部(SJS中学部・通称ジャパ中)は、世界各地にある日本人学校の中でも独自の魅力が詰まった環境です。
今回は、公式ホームページやパンフレットの表面的な情報だけでは見えてこない、学校の基本システム、授業や行事のリアル、そして気になる進路の選択肢まで、在住者の目線から徹底解説します。
ちょんぷーとても良い環境で学べたなと思っています!
そして中学からは軽い気持ちでインターに入れると大変なことになります!
基礎知識:学校の概要とシンガポールならではの通学・生活システム
まずは、学校生活のベースとなる基本情報をおさらいしておきましょう。日本の公立中学校とは大きく異なる点がいくつかあります。
スクールバスによる完全通学システム
シンガポール日本人学校中学部は、緑豊かな西部のクレメンティ地区に位置しています。
防犯や安全管理の観点から、生徒の多くは島内全域を網羅するスクールバスを利用して通学します。住むエリア(コンドミニアムなど)によってバスの乗車時間が変わるため、朝の出発時間が日本の感覚より早くなることも珍しくありません。市バスを使う生徒もいて、近くに住む生徒は徒歩で通っています。
チャンギの生徒たちはなかなか通うのが大変なので引っ越す家庭もあります。
中学生がいる場合はクレメンティエリアに住むと通うのが楽ですが、塾はオーチャードエリアに集中しているのでどちらを選ぶかが難しいところです。
施設環境の充実度
日本の公立中学のように給食はなく、基本的にお弁当持参か、事前に弁当を購入する形になります。
施設面は冷房完備の教室はもちろん、グラウンドや、体育館と道場、美術室、技術室、理科実験室があります。全体的に施設は古めです。
公式HPはこちら
メインストリームクラス(普通クラス)とグローバルクラスの違い
ジャパ中には、大きく分けて2つのクラス体系(コース)が存在します。
- メインストリームクラス(通常クラス) 日本のカリキュラムをしっかりと履修します。国語、数学、理科、社会、英語を学び、日本の高校受験を見据えた学力を着実に身につけたい場合、最も安心できる選択肢です。
- グローバルクラス(GC) 日本の学習指導要領をベースにしつつ、数学や理科を英語で学ぶクラス。週1で日本語による学びもあります。2人担任制で、英語を話す外国人の先生が必ずクラスに1人いて、ほぼ英語で過ごすクラスです。

英語のクラス分けにおける学校側の配慮と現実
メインストリームクラスであっても、英語の授業は週に数回、習熟度別の少人数制レベル分けで行われているようですが、学校側の配慮がありレベル別とはされていないようです。
名称は伏せられていても、生徒たちの間では「自分が今どのあたりの立ち位置にいるのか」が自然と伝わる空気感があります。
この辺りは小学校でもそうですが、クレームを言う親も多かったようなので、学校も苦労しているんだろうなと勝手に察しています…。文句を言った時点で負けだと思うんですけどね。
具体的に何をする?カリキュラムと授業のディープな中身
「日本人学校の英語教育や独自授業は具体的に何をするのか」という点が、一番気になる部分ではないでしょうか。
習熟度別英語と「イマージョン授業」の具体例
メインストリームやグローバルクラスでは、単なる文法習得にとどまらない授業が行われます。
- ネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業:エッセイライティングや、社会問題をテーマにしたディベートが日常的に行われます。
- 理数科目の英語授業(グローバルクラス):例えば理科のレポートを英語で論理的に作成したり、数学の問題を英語でプレゼンテーションしたりします。週に1回は日本語でのフォローアップ授業があるものの、専門用語の英語(例:光の屈折や方程式の用語など)をキャッチアップする語彙力が求められます。
現地シンガポールと繋がる教育
SJS中学部(特にグローバルクラス)の大きな特色が、現地シンガポールのリソースを最大限に活かした独自の探究学習です。
単に語学としての英語を学ぶだけでなく、シンガポール国立大学(NUS)の付属高校(NUS High School)等、現地の学生や機関と連携したプログラムに参加するチャンスがあります。一般的な日本の公立中学では絶対に経験できない「学術的・実践的なコミュニケーション力」が鍛えられます。
イベントはシンプルだけど修学旅行のスケールは規格外
海外の学校ということで派手なイベントが多い印象を持つかもしれませんが、学校生活の行事自体は、日本の公立中学校と比較しても「やや少なめ・シンプル」に抑えられているのが特徴です。
主要な学校行事のリアル
- 獅和祭(文化祭) 日本の学校のようなクラスごとの模擬店や演劇などはなく、基本的には「合唱コンクール」となっています。
- 体育祭 シンガポールの厳しい暑さへの配慮もあり、1日中炎天下で行うような形式ではなく、室内で開催されます。
- 公開授業 保護者にとって有り難い点として、毎学期(年3回)公開授業が設けられています。子どもの様子や学校の雰囲気を定期的に確認できる機会が確保されています。
行事が少なめであることは、一見すると物足りなく感じるかもしれませんが、実は大きなメリットでもあります。シンガポールの中学生は、日々の塾通いや英検・TOEFL対策などでとにかく多忙です。行事の準備に追われすぎず、自身の勉強や目標にリソースを集中できる環境と言えます。
ただ、行事が少なすぎて不満であると言う声は大きいのも現状ですが日本も簡素化しているので仕方ないのかもしれません。
部活は活発でない
部活は週に1回あるかないかで、活発でないのが現状。部活をしっかりやりたい生徒には不満が残るでしょう。中学生としてしっかり運動して体をつくりたい!と言うことはなかなか難しいため、クラブチームなどに入る生徒も多いです。
例年の修学旅行はバリ島2泊3日
日常の行事がシンプルな反面、最大のビッグイベントとなるのが修学旅行です。
例年、インドネシアのバリ島で2泊3日過ごします。日本では考えられない海外リゾートへの修学旅行は、近隣諸国へのアクセスが抜群に良いシンガポールという立地だからこそ叶うスケール感です。現地の文化や自然に触れ、一生の思い出になることは間違いありません。
人間関係といじめ・トラブルの現状
保護者として最も気になるのが、学校の雰囲気やいじめ問題です。
学校側はいじめ対策に対して非常に実直に取り組んでいる印象を受けます。教員も細かく目を光らせており、基本的にはお互いのバックグラウンドの違いを認め合う多様性のある空気感です。
ただし、トラブルが全くないわけではありません。生徒間の人間関係のトラブルや小さないざこざの話はやはり時折耳にします。こればかりは、その時々の学年のメンバーや相性によるところが大きいのが正直なところです。日本からスライドしてきたばかりの子、長く現地にいる子など、様々な経験を持つ生徒が集まるからこそ、時に衝突が生じるのは、どこの中学校でも共通する現実と言えます。
全国から集まる優秀な教員と「3年の壁」
ジャパ中の大きな強みの一つが、教員の質の高さです。
日本全国の自治体から公募等で選ばれた優秀な指導者が集まっているため、中には日本国内で大きな賞を受賞するような素晴らしい教員も在籍することも。実際の授業に足を運ぶと、大人が聞いてもうなるような、知的好奇心を刺激される授業を展開されることもあります。
また、全国から教員が集まるということは、「将来自分が帰国予定の地域の、リアルな受験事情や学校情報に詳しい先生に出会えるチャンスがある」ということでもあり、これは保護者にとって非常に大きなメリットです。
懸念点である任期の問題
非常に魅力的な教員が多い一方で、海外派遣の宿命として「一人の先生の任期はだいたい3年」という現実があります。お世話になった大好きな先生と、卒業まで一緒に過ごせない可能性があることだけは、あらかじめ念頭に置いておく必要があります。
進路選択の傾向と海外ならではの注意点
進路については、学校側が特定の進路を強制することはなく、生徒が自分で決めるという主体性を重んじるスタンスです。
環境柄、卒業後の進路の傾向としてはどうしても「帰国子女枠受験」や「私立高校」がメインになりがちです。国内(シンガポール)にある早稲田渋谷シンガポール校へ進学する生徒も多く見られます。
進路の状況
進路は非公開になっていると思いますが、周りをみても国内外のトップクラスの高校へ進学しています。
灘、開成、ラ・サール、慶應、早稲田、ICUなどなど毎年びっくりするほどの進学実績を誇る中学校です。
早稲田渋谷シンガポールへも30人ほどが例年進学し、大隈特待も取る子が多いです。
そんな中学だからこそ、定期考査がとってもレベルが高い!
その対策のために塾に行き、さらにレベルが上がる、という上位層には嬉しい反面、なかなか大変な思いをする生徒も多い印象です。
成績の上位順に発表するようなことはないので、全体の中での位置が分かりにくいということも。受験結果を見るまで正直我が子の位置がよく分かりませんでした(笑)
授業は普通であることに注意
ここで気をつけなくてはいけないのが授業自体がものすごくハイレベルなことが行われるわけでなないこと。
中2で中3まで終わらせると言うような私学のような進度と言うわけではありません。
授業の進度は普通、考査のレベルは高めと言うことで、ほとんどの生徒が塾に通うわけです。
授業や定期考査対策だけでは受験対策は少々難しいものがあると言えると感じます。
もちろん塾に行かずにハイレベルな生徒もいるんですけどね。
公立高校を志望する場合の注意点
もちろん、日本の公立高校(都道府県立高校)へ進学する生徒も一定数います。
ただし、海外からの公立高校受験は、各都道府県によって「親の同伴が必須条件(単身帰国は不可)」「内申点の換算方法が特殊(3年間の内申の見方など)」「出願資格の縛りが厳しい」など、ルールが完全にバラバラです。公立を視野に入れる場合は、早い段階から希望する自治体の条件を個別に精査することを強くおすすめします。
情報を取りに行くためにも塾が必須化
もちろん塾に行っていなくても優秀な生徒はいますが、ほとんどの生徒が塾に通っています。
進路指導は基本的に塾で。学校からアドバイスを受けるようなことはあまり期待できません。
シンガポールにはたくさんの塾があるので、選び放題。LEC、オービット、早稲田アカデミー、駿台、KOMABA、WAMなどに通う生徒が多くいました。
まとめ:シンガポール日本人学校中学部はこのようなご家庭におすすめ
シンガポール日本人学校中学部は、以下のような要望を持つご家庭に最適な環境です。
- 日本の高校受験に向けて、5教科の学力をしっかりと維持したい
- 行事や部活に追われすぎず、塾や英語資格の対策に時間を割きたい
- 帰国後の学校と大きく離れない環境を選びたい
- 日本全国から集まったプロフェッショナルな教員の授業を受けさせたい
日本の教育の安心感と、シンガポールならではの国際性・利便性が絶妙にブレンドされた学校です。ぜひ選択肢の一つとしてじっくり検討してみてください。
さらに一歩踏み込んだ情報として、「グローバルクラスに入学・合格するために実質必要な英語力のライン」やなど、よりディープな裏事情や受験対策については、こちらのnoteで徹底解説しています。本気で進路を検討されている方は、ぜひあわせて参考にしてください。


